「ジャーロ」誌が2005年冬に行った海外ミステリーのオールタイム・ベストのアンケート集計です。メンバーは、ＥＱ誌が休刊時（1999年７月）に行った時とおおむね同じ。そのためかどうか、ベスト上位はほとんどおなじ内容となっています。★のあとの数字が得点です。
この内容を見たかぎり、もう「海外ミステリのオールタイム・ベスト」は改めてアンケートをとる必要はない、と言わざるをえません。「オールタイム」というくくりで行う限り、海外ミステリにあらたなスタンダードが出てくる可能性は、ないでしょう。いつまでたってもクイーン、クリスティー、アイリッシュ、カー（それに最近ではバークリー）、または、ハメット、チャンドラー、ロス・マクドナルドから選ばれるに決まっています。
思い起こせば、江戸川乱歩は1947年に時点で、ベスト・テンを三時代（古典／黄金期／それ以降）に分けて選出しています。1930年代の娯楽小説と、現代のエンターティンメントを同列で評価することは、無理です。小説の出来としたら、1930年代のミステリに所詮勝ち目はないし、初読のインパクト、思い入れでいったらどうしても古典的な作品に軍配があがります。
今後この手の企画を行うのなら、「1940年代以降（あるいは1970年代以降）の作品から選んだベスト」としなくては、新しいスタンダードはいつまでたっても出てこないでしょう。