ハヤカワ・ノヴェルズは早川書房が出版していた46判の叢書で、1964年から刊行されている。しかし、
- 通し番号や整理番号がない
- ハードカバーとソフトカバーがあり、それぞれに装幀が違う
- 後期は作品傾向にも装幀にも一貫性がない
など、全貌のつかみにくいレーベルだった。これを叢書といっていいのか迷うほどだ。
初期の本には四頭馬戦車（クアドリガ）の下に Hayakawa Novels と記されたマークが中扉と背表紙の上部に（ただし文字は〈ハヤカワ ノヴェルズ〉とカタカナで）あるためわかりやすい。装幀にも統一性があった。しかし、数年して刊行されはじめるハードカバーには背表紙のマークがなく、装幀もまちまちである。後期になると、中扉のデザインの統一性もなくなる。クアドリガのマークも縮小され、場合によっては Hayakawa Novels と小さく記されるだけとなった。
さらに調べ出して混乱したのは、〈ミステリ・マガジン〉の広告ページや単行本の巻末リストでハヤカワ・ノヴェルズとして上げられているにもかかわらず、Hayakawa Novels の表記のない本が複数あることだった。中には同一作家のシリーズ作品なのに、途中でロゴマークがなくなるものがある。これらの作品をどうするか迷ったが、とりあえず▲印をつけてハヤカワ・ノヴェルズのリストにいれた。ただし、いくつかの本は、あまりにハヤカワ・ノヴェルズとするには違和感があるので、やはり▲印をつけてその他の単行本のリストに入れた。
調査の過程でのいくつかの疑問点は、「ハヤカワ・ノヴェルズの闇」にまとめた。
以下よりexcel形式のデータのダウンロードが可能です。
ハヤカワ・ノヴェルズ・データ ←最新2022.10.01
このリストは雨宮孝氏のサイト「翻訳作品集成」にあるハヤカワ・ノヴェルズのリストをもとに、よしだまさし氏がチェックしたものを、さらに森下が追加修正をおこなったものです。あわせて、ハヤカワ・ノヴェルズ以外の翻訳小説の単行本も確認しました（1964年以降／叢書は省いてます）。「翻訳作品集成」への追加については印をいれたが、「翻訳作品集成」は日々更新されているため、確認した時点のものとしてご覧ください。雨宮孝氏、よしだまさし氏に感謝いたします。
不明項目（赤文字）として挙げられているもの以外、すべての本を現物で確認したつもり（一部、国会図書館のデジタルコレクション）ですが、勘違いやチェック漏れがあると思います。内容の間違い、追加などお気づきの点があれば連絡いただければ嬉しいです。
■凡例
[文庫]欄（文庫化作品） ※別の翻訳の場合あり
- NV ハヤカワ文庫NV
- HM ハヤカワ文庫HM
- SF ハヤカワ文庫SF
- FT ハヤカワ文庫FT
- CT クリスティー文庫
- DK ダニエル・キイス文庫
- epi ハヤカワepi文庫
- 角 角川書店
- 集 集英社文庫
- 創 創元推理文庫
- 富 富士見ロマン文庫
- 学M 学研Ｍ文庫
- 河 河出文庫
確認にあたり、主に下記の図書館にお世話になりました。また、細谷正充氏にいくつかの不明点をご教示頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。
- 浦安市立図書館
- 市川市立図書館
- 千葉県立図書館西部分館
- 東京都立図書館多摩分館
- 国立国会図書館